ホウレンソウのある食卓
前の日に約束をしてから伺ったので、朝のうちに市場に行って食材をいろいろと買い込んでくださっていました。
立派なホウレンソウの束を出してきたので、おっ!と思って、不躾かなとは思ったのですが「高かったんじゃないですか?!」と聞いてみたら・・・
「まぁね、そろそろ旬に入るけど・・・まだ、はしりだから、そこそこ」とニッコリ。
アッカと二人でせっせと根を取り、刻んで、それから何回も水を替えジャブジャブ洗って土を落とし、下ごしらえ完了。
インドではホウレンソウは高級食材の部類で、もてなし感のあるものだと聞きますが、ジャフナにもそういったニュアンスはあるのかな?
ともあれ、そのホウレンソウで作った料理は、後でジャフナ料理の本を見ていたら同じのが出てきました。
本の著者が取り上げ、アッカもメニューに選ぶくらいですから、ジャフナらしい料理なのかな。今度、よそで習うときに、そのおうちの作り方を見せてってリクエストしてみよう。
「この料理って決めたら、それを何ヶ所でも繰り返し習うんだよ」って、料理教室の大先輩、尊敬するたなかまみ先生がおっしゃってましたが、こうやって一品ずつ出会いがあり、レシピ化への道が開いていくんですね。
レシピ化?だってもう本に載ってたんでしょ?と、思われるでしょうか。
実は、外国の料理を紹介するっていうのは、材料、分量、手順・・・というだけでは済まない部分があります。作り手の思考回路を解き明かさないと、本当の意味で再現はできないのです。
味を再現するだけなら、一品作るだけなら、腕と慣れと少しのセンスがあればできますが・・・
たとえば「どんなおかずと取り合わせるのが妥当か」「どんな場面で食べるものか」って、私たち外国人にはすごく分かりにくいところです。こればかりは、場数を踏んで把握していくしかありません。
「(オーセンティックな)メニューを組めるようになるのが一番難しい」というのが師匠、香取薫先生の口癖。
だから、香取先生の料理教室では、私たち講師も、レシピどおりに作って見せるだけでなく、背景にある地理、気候、歴史、宗教、そしてアーユルヴェーダなどのお話をたくさんするのです。
レシピを著すとは・・・
その料理が置かれた食卓の風景が立ち上がってくるようになるまで、地道にリサーチを重ねて行くこと。
師の背中から学んできたことです。
◆料理修行2017年3月〔ジャフナ〕
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