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2018-09-24

一族ゆかりのお寺へ

ジャフナ地方の料理を紹介した本 “Jaffna Cookery” の著者を訪問した話の続きです。
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◆”Jaffna Cookery”の著者を訪ねて
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料理が一段落したところでお参りの時間になったので、食事の前にヒンドゥ寺院へ。著者のご先祖が土地を寄進して建てたという、一族にゆかりのお寺でした。

ちょうど、11日間にわたって行われる、一年で一番大きなお祭りの最中だったのです。この日は朝10時と夕方6時に、翌日は朝8時から昼過ぎまでというように、連日、祭礼が行われており、私も二日にわたってご一緒に参拝させていただきました。

実は、著者はふだんコロンボにお住まいですが、このお祭りのために故郷に戻っていたのです。

内戦やそれに先立つ政情で頭脳流出が著しかったジャフナですから、そういった帰省組は多かったようで「この人はオーストラリアから」「この人はドイツ在住」「来週の飛行機でサウジアラビアに帰るの」と、そんな話ばかり。そして、会う人みんな親戚なのでした。

帰省できない人たちのためか、ドローンまで使って祭りの様子を撮影。facebookのコミュニティにどんどんアップされていきます。

参拝前には足を洗い、最初だけは必ず正面の門からと教わって中に入ると・・・

祭りというのは、きっと本来こういうものなのでしょう。
文字通りの祈りの場。

はじめに神像にお香の煙をかけたり、ひとしきり儀式をした後、担ぎ上げてお神輿に乗せ、お寺の中をぐるりと一周。その後、外に出てさらに大きな山車に乗せてお寺の周りを周ったり・・・

「人間にするのと同じように神様のお世話をするの。朝起きたら服を着せて食事を備えて、外に出て・・・。明日は戦争に行く日なのよ。出陣前は赤い飾りで司祭も赤い服、お寺の周りをまわるのは進軍、勝利して戻ってきたら緑色に着替えるのが観られるわよ」

ヒンドゥ教の知識がない私が記憶に留め得た範囲のことなので誤りもあるかと思いますが・・・

そんな説明を聞きながら思ったこと。
もしかすると儀礼の間中、この人たちの頭の中では神話の大活劇が展開しているんじゃなかろうか。お寺の屋根を鮮やかに飾る、あの極彩色の神像たちが感情豊かに動き回るような、すっごいリアルなやつが。

生演奏のラッパと太鼓が、かなりパンクというか、演奏している兄ちゃんたちはもはやエレギをかき鳴らしているようにしか見えないノリノリロックンロールで、即興の掛け合いがライブ感満点。その勢いがいやが上にも物語を盛り上げて・・・

あの猛烈な、細胞が渦巻くような、熱気というか圧というか、めくるめく感覚は何だったのか。何度も涙がこぼれました。

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